パニック障害体験談「自力脱出までの道のり」



パニック障害克服体験談

パニック障害克服ABC編集者です。

今回で、パニック障害の体験談も5回目を迎えました。これまで、様々な体験談をご紹介してきましたが、パニック障害克服のヒントとなっていますでしょうか。

一言でパニック障害と言っても、根本的な症状は同じかもしれませんが、身体に出る症状は多種多様です。ご紹介している体験談をご自身がパニック障害になった経緯と症状に照らし合わせて、少し考えてみる事も克服のための近道です。

 

さて、今回は大阪府にお住まいの38歳女性の方に体験談を書いて頂きました。

彼女は自分の病気がパニック障害と知るまでに時間が掛かってしまったのですが、パニック障害と知ってからはかなりの努力を積み重ねて克服に至っています。

こういった、「パニック障害を治すんだ!」という強く前向きな姿勢は、やはり、パニック障害を克服していく方の多くに共通する項目かと感じます。

「もうパニック障害は治らないんだ…」

「一生この病気と付き合っていかなければならないのか…」

など、ネガティブ思考に陥ってしまうと、パニック症状も悪化する一方です。

“ますはやってみよう!” “パニック障害に良いことは取り入れてみよう!” こういった姿勢を意識してみてくださいね。

 

また、彼女が体験談の中で書いてくれた“克服のポイント”はパニック障害の治療の中では、王道の改善手法と言えますので是非真似してみてください。

 

はじめに|パニック障害体験談

私は大阪府大阪市に住む38歳女性の会社員です。当時も今も独身・ひとり暮らしです。

私がパニック障害を発症したのは、2007年の夏のことでした。

とは言ってもパニック障害という病気に対する知識もなく、正式な病名にたどりつくまでに1年かかりました。

なぜこんなにしんどいんだろう、何が問題なんだろう・・・

不安は増し、毎日が恐怖の連続でした。

完治した今でこそこのように思い出すことができますが、当時は人生が暗闇でした。

背中の痛みと、初めてのパニック発作|パニック障害体験談

当時私は29歳、大阪府のデパートの小売店で毎日楽しく働いていました。

体力だけはありましたので不規則な仕事でも平気と信じ、仕事の後には毎日のように同僚と飲みに行ってはその日の疲れを吹き飛ばし・・・というエネルギッシュな日々でした。

ただ、なぜか常に右の肩甲骨がやたらこるのです。筋肉疲労や肩こりといった概念を超えていると自分でも感じるほど、ピンポイントで痛みがありました。こりから吐き気が出たりすると日常生活に支障も起きます。

ツボ押しに行ってみたり、自分でお灸をしてみたり、ヨガをしたりしましたがまったく効かず。整形外科で精密検査をしてみても「ちょっと背骨が曲がっているが許容範囲」とだけ言われ根本解決には至りませんでした。

肩甲骨の一点集中の痛みが慢性化したころ、急に心臓が「とくっ」と跳ね上がるような感じが出てきました。不整脈とは違います。「とくっ」と一跳ねしたあと、5分ほどでじわじわと言葉にはできない「不安感」が心の中に広がります。

「大丈夫・・・ちょっと心臓がぴくっとしただけじゃん」と言い聞かせるのですが、なぜか余計に「もうだめだ」という不安に侵されます。何がもうだめなのか自分でもわかりません。とにかく、とにかく不安で「もうだめ」です。

心臓が跳ねたことも不安になります。「死んでしまうかも」と。その不安感は、長くて2時間ほど。ただ時間が過ぎるのを待つしかありませんでした。

日に2回ほどなるときもありました。まったく無い日は元気いっぱいです。

そして、日中に不安に襲われると大好きなコーヒーを飲んで「大丈夫、大丈夫、疲れているだけ」と言い聞かせました。

同僚や上司に「この頃、心臓がドキッとするんですよ」と話すと、「あるある!ストレス溜まるとなるよねえ」なんて会話に紛れてしまい、少しホッとしました。

「そうだ、仕事してたらいろいろあるし、そのうちゆっくり休めばいい」

その年、私は少し責任のあるポジションを任されていました。

不安発作が続いたある日、私は周りの目を盗んでトイレや倉庫で深呼吸を繰り返していました。

大丈夫大丈夫、あと少しで閉店だし、今日の業務はうまくいったし・・・

しかし、その後の上司を交えた閉店ミーティングの最中。私は今までで最大級の不安発作に襲われついに倒れてしました。

同僚が水を飲ませてくれ、上司に抱きかかえられて家まで送ってもらいました。

朦朧とした頭は「急に死んだらどうしよう」ということでいっぱいです。

ひとり暮らしでは誰に頼ることもできず、携帯電話を握りしめて眠りました。また発作が起きたら、救急車を呼ばなくちゃと。

発作との付き合いと、やっとわかった病名|パニック障害体験談

当時お付き合いしていた彼氏がいました。とても賢いひとで、私よりずっとストレスフルな職場にいました。

たまに「ああ、またちょっと胸が苦しい」と言ったりしましたが、「よくある」と言われ何だか弱みをさらけ出して甘えることができませんでした。

一緒にいるときは発作の頻度は減るような気はしましたが。

 

仕事は減らしました。

上司に訳を話し、最前線の責任業務から離れました。シフトも無理のない範囲にしてもらえ大変ありがたく感じました。周りの理解は十分でした。その半面、パートさんと同じ時間だけ働いて帰る自分に苛立ちました。もう出世は無理かな、と。

 

自律神経を整える漢方を飲み、家で毎日ヨガのポーズを取り、満員電車は避けて生活しました。

まだこの時点で「パニック障害」という病名にはたどりついていません。背中が痛くなり始めてから、半年以上経っていました。

 

ついに私は初めて心療内科へ行き、先生に話をしました。

今思うと大変不思議ですが、そこでも「パニック障害」という言葉は出ませんでした。

「最近、遊びに行った?」と聞かれ「先週彼氏とアクション映画を見に行った」と答えました。

その映画は面白くデートは楽しかったのですが、「ドーン」という音量で心臓もドキドキし、密閉された空間で発作が起きたらどうしようとずっと考えていました。

そう話すと先生は、

「映画に行って楽しいのなら、うつ病ではないね!仕事を頑張りすぎているのかもね。後輩に少し任せて気楽に生きたらいいよ!辛くなったらこれ飲んで」と言い、パキシルが処方されました。

「なんか違う気がする。しっくりこない」

釈然としなかった私は、パキシルを2週間飲み、それ以降病院には行きませんでした。

 

転換期が来たのは本当に偶然でした。

久しぶりに会った旧友にとある鍼灸院を紹介され、ふと行く気になりました。

普通電車で2時間かけて行った先の先生は、鍼灸と並行して心理バランスも診るということでその穏やかな話し方に私は安心しました。

そして辛い日々を話しているうちに涙が出てきて、わんわんと泣きました。

 

3回目の診察の帰り間際に、先生が私を呼び止めました。

「僕は医師免許を持っていないから何の判断もできません。しかし、もし気が向いたらこういうジャンルの本を読んでみたらいいのではないかな」

それは、東洋医学や心身症に関する数冊の本の紹介が載ったリストのチラシでした。

 

帰りの電車で私はその中の「パニック障害」という項目に釘付けでした。

急に目の前が開けたような気がしました。

大型書店に寄り、不思議にもすぐ見つかった2冊を買い、走って帰宅しました。

 

結果的にその2冊の本に、私は救われました。

 

パニック障害のチェックリストに、私はほとんど当てはまる。

私はパニック障害なんだ!!

おかしな話ですが、「治る!!」と確信しました。

私の症状にはちゃんと病名があり、たくさんの人が経験していて、対処法もあるんだ。

これだけですべてが救われた気がしました。

パニック障害を知ってから治るまで|パニック障害体験談

そこから症状が改善するのは早かったです。

 

まず、コーヒーを止めました。本の中に、コーヒー(豆類)でパニック発作を誘発することがあると書いてあったためです。ただ、完全に止めることは辛かったのでカフェインレスのインスタントコーヒーを購入し、毎朝一杯と決めて飲むことにしました。

スターバックスのディカフェコーヒーにもかなりお世話になりました。

混雑時には注文が申し訳なく思いましたが、外でコーヒーを楽しむことができ、同時にその他の飲料からもカフェインを可能な限り断ちました。

 

これだけで発作は半分に減りました。

気分的なものもあったとは思いますが、大きな一歩でした。

 

もうひとつ大きかった要因は、認知行動療法の存在を知ったことです。

西洋医学の薬をもう一度飲む気にはなれず、まずは自分の不安を書き出すことから始めました。

 

各駅停車の電車に乗り、耐えるだけ耐える練習をしました。

じんわり不安が出てきても、「あと一駅いける」と自分に言い聞かせ乗り続けます。

結果、2か月ほどで電車への恐怖は消えました。

 

脳内のセロトニンが不足していると聞き、ウォーキングも始めました。

長期的に見ると非常に効果があったと思います。

調子の良い休日に、「セロトニン出ろ出ろ」とハミングをしながら歩きました。

「これやっておくと、今週は発作が出ないぞ!」と勝手に決めて。

 

こうして、発作の回数が減り、コーヒーを飲んでも大丈夫になり、日常生活が私のもとへ戻ってきました。職場で倒れてから、2年が経っていました。

パニック障害の皆さんへ伝えたい事|パニック障害体験談

不安発作(パニック発作)は、自分ではどうしようもありません。

かといって、不安に押しつぶされてベッドでまるまっていることは更に悪化を招きます。

 

「自分だけではないんだよ」

「脳の中でちょっと不安がバタバタ暴れているだけだよ」

「治るよ、治るよ、大丈夫だよ」

と信じ、病院での精密検査等で異常が無いのであれば怖がらずに生活したほうが良いです。

 

「心臓の病気ではないんだよ」

と理解し、自分の体に向き合う時間だと思えば深呼吸も深くなります。

 

克服した人の体験記を読むことも良いかも知れません。

もし、家族や身近なひとの理解を得られていなければ書物で共有してみてください。

「言葉にできない不安感」は、自分の口からはなかなかうまく伝わりません。

 

現在の私は大阪府大阪市に住み、別業界に転職して働いています。今はパニック発作とは無縁です。

ただ、とっても疲れたり暴飲暴食が続いたり自分のメンテナンスを怠ってしまう日が続くと、ふとあの頃を思い出して節制をしています。

 

ストレスが多いと肩甲骨のこりが再発します。

これが私への忠告でもあり、心身の健康のバロメーターです。

こりを放置すると、またパニック障害が出てくるかも知れません。

だから、ありがたくこの体からのメッセージを聞くことにしています。

パニック障害克服のポイント|パニック障害体験談

  • 症状が「謎のもの」ではなく、ちゃんとした疾病であると理解すること
  • コーヒー、カカオ等の豆類を控えてみること
  • カフェイン摂取量も控えてみること
  • 認知行動療法の本を読み、できそうな項目からゆっくり取り組むこと
  • 広場恐怖の幅を少しづつ広げていくこと(発作が起きて倒れて、誰もいなかったらどうしよう!という場合もありますが、私はどちらかというと「倒れて周りに迷惑をかけること」に異常に恐怖感を感じるタイプでした。自分のポイントを知り分析し「この場所なら安心」「この距離なら大丈夫」という範囲を広げることが大事です。認知行動療法にも繋がります)
  • セロトニンを出すこと。ウォーキングが一番おすすめ

知識もなく、何とか自力でできる範囲での克服でした。

良いドクターや情報があれば、そしてそれが自分自身の体とマッチすれば、改善は遠いものではありません。

現在苦しんでいる方々の完治を心から願います。