森田療法(神経症・不安障害の治療法)



森田療法』は、「心」の考え方を変える事によって、パニック障害を含めた神経症・不安障害の症状を改善していく治療法です。

神経症の根底に共通する、「恐怖」や「不安」から開放し、生きる事に前向きになる為に「あるがまま」の自分を受け入れる事が、この治療法の基本的な考えとなります。

森田療法とは

森田正馬

『森田療法』とは、慈恵医大精神神経科・初代教授の森田正馬氏が、1919年に自らの体験を通して創始した、神経症・不安障害(パニック障害など)の精神療法です。

彼が注目したのは、多くの神経症と診断される患者には、内向的、自己内省的等の、「ストレスの溜め込みやすさ」、心配性、小心等の「気の弱さ」、敏感、完全主義等の「強い欲望」といった、共通した性格を持っている事でした。

このような「心の囚われ」に対して強い「死」に対する不安や恐怖感を持ち、「いけない」ものとして排除しようとする為に精神疾患やパニック発作を引き起こしてしまう事が多いと考えたのです。

森田療法は、「心の不安」を「ありのまま」に「受け入れる」事によって「死」に対する不安や恐怖を薄めると共に、その裏側にある「生きる」という意欲を強くしていく治療法です。入院治療を前提に考えられた方法でありますが、現在は全国各地の病院機関で専用窓口が設けられており、外来でも治療を行う事が出来ます。

 

森田療法の実践

入院での実践方法

『森田療法』は専門機関で入院をしながら行う事が、伝統的な治療スタイルとなります。

常勤医師および臨床心理士が担当し、面接や日記による指導を行いながら、パニック障害等の精神病の治療及び改善にあたります。

病室内では周囲の環境から一旦身を離したうえで、治療を行います(携帯電話やパソコンは治療中に使用する事はできません)。

入院直後は、1週間程度はひたすらに病室で休眠を取ります。その後は散歩や軽作業、部屋の片づけ等の簡単な作業を症状に流されずに出来るようにし、徐々にステップを踏みながら外出や仕事等に取り組めるように心身を回復させていきます。

外来での実践方法

外来での『森田療法』の治療方法は、全国各地で設けられている『森田療法』の外来窓口で受付を行い、専門の医師の元で面談を定期的に行いながら治療をします。その際に必要になる事が、日々の生活を日記に記し、医師に面談中に見せるという事です。

日記を書く上で意識をするべき事は、自分が「どのように思って」行動したのか、また、行動に対して「どうしたかったのか」を常に考えながら書く事です。生活の1つ1つに問いかけを重ねていきながら日々の生活のあり方を見直す事が、『森田療法』の基本的な考え方に乗っ取ったものであり、毎日の生活について「ありのまま」に書き記す事は、症状に対する「とらわれ」から自分を解放し、日々の生活において生きる事への活力を養う為に重要となります。

『森田療法』には「ありのまま」という言葉をよく使います。これは心に負担をかけずによりよく生きようとする欲望を、日々繰り返す行動によって実現していくことを目指しているからです。

 

森田療法のパニック障害に対する改善効果

『森田療法』は、張り詰めている「心」に余裕を持たせ、様々な症状に対する恐怖を緩和する事によって症状そのものを改善させる効果があります。

パニック障害の発作の場合は、いつ・どこで起きるか分からない事が大きな不安要素となります。『森田療法』の場合は、その事を含めて「ありのまま」に受け入れる事により、発作に対する恐怖を緩和させます。発作が起きる事を悪い事だと思わないようにする事によって、発作の頻度を下げる事に繋がるのです。

 

森田療法を実践する上での注意点

神経症・不安障害(パニック障害など)を患っている方の多くが「症状を取り除きたい」と思ってしまいます。しかし、それは『森田療法』を行う上では考えてはいけないものです。

『森田療法』は、症状の具合を含めて「心」の在り方を受け入れる治療法です。

例えば、深夜に寝れない時に、「寝よう寝よう」と考えてしまう事は、してはいけません。無理に眠ろうと考えてしまうと不安や恐怖を抱いてしまい、症状を余計に悪化させてしまい、パニック発作等を引き起こす可能性を高くしてしまいます。

眠りたいと思っても無理に眠ろうと考える事をせずに、「眠くなったら眠ろう」と、気長に眠気を待つようにしましょう。食欲の無い時は「食べよう」と思って無理に食べ物を摂取せずに、食べたい時に食べるようにし、食べる事が出来ない自分を責める事は決してしないようにしてください。

どんな事においても決して無理をして行わないようにする事が、「心の余裕」を持ち、捉えがちな自分の考えから心身を解放する為に必要です。