医師によるパニック障害の治療の流れ(ガイドライン)



パニック障害(パニック症)の治療の流れとしては、

  1. 患者とその家族に対してパニック障害を理解させる
  2. 薬物療法によってパニック発作を軽減させる
  3. 精神療法を活用して克服(寛解)を目指す

この様な治療過程で進められて行くのが一般的です。

しかし、しっかりとした医師に出逢わないとこれらの治療の流れを説明されないケースも珍しくありません。精神科や心療内科に行き、突然“パニック障害”と診断されて、訳も分からず抗不安薬やSSRIなどのお薬を処方されて帰ってきたという方も少なからずいるでしょう。

「一体これからどうなってしまうのだろう…」

この様な不安を解消するためにも、パニック障害(パニック症)の基本的な治療の流れや進め方を理解しておく事はとても大切です。また、この治療過程を良く知った上で治療を進めていく事が早期克服へと結びつくと考えています。

ここでは、パニック障害の治療ガイドラインを要約しながら、パニック障害の治療のやり方を解説していきます。

 

1.パニック障害とその治療法について説明を行う

医師による説明

当たり前のことですが、パニック障害と診断する以上、

  1. いったいパニック障害とはどの様な病気なのか?
  2. どのような治療を行っていくのか?

この2点について、医師から患者に対して説明が行われます。

実経験として、私のケースではパニック障害という診断名さえ出ませんでしたし(数年後に確認しましたが、カルテにはパニック障害と書いていた様です)、治療方法についても、「症状が出なくなるまで薬を飲み続ける」といった説明のみでした。

パニック障害は比較的新しい病気(1990年代 WHO認定)ですので、医師によっては、パニック障害に対する知識が乏しい可能性があることも想像できます。

上記の実体験では、何も聞かなかった私側にも責任があり、しっかりと病名を聞き、治療方針と治療方法を確認しておけば、もっと早くパニック障害について調べ、考え、克服ができたのではないかと反省します。

パニック障害について説明を受ける ―― これはとても大切です。初診時のことを振り返って、十分な説明を受けていないと感じたら、次回の診察時にしっかりと確認を行いましょう

パニック障害という病気についての説明内容

ガイドラインに沿った説明内容は以下の通りとなります。

①さまざまな身体症状を伴う不安の病気である

パニック障害は大きく不安障害という病気のグループに分けられます(参考記事 ➡ 不安障害とは?その症状と種類)。ですから、不安を軽減させるための治療をお薬(SSRI・抗不安薬)で行っていくのが日本では一般的です。

また、パニック障害の症状にはパニック発作・予期不安・広場恐怖などがあり、身体的な症状として、息苦しさ・吐き気・めまい・不安感・恐怖感が伴います。

[参考] ➡ パニック障害の症状はどのような種類があるのか?

 

②パニック障害の原因について説明

パニック障害の原因は不安感や恐怖心による脳のトラブルですから、本人の性格や気の持ちようではありません。パニック障害は病気です。本人の甘えではありません。また、このような原因ですから、死んでしまうことは全くないことが医師により保証されます

[参考] ➡ パニック障害を発症する原因はストレス

③有効な治療法

どのような治療を行っていくかについて説明されます。薬物療法(お薬による治療)がパニック障害に効果的だという内容に加えて、認知行動療法も有効だという説明があります。ただし、認知行動療法については、その病院で取り扱っているかどうかで説明の内容が変わってくるかもしれません。

④周囲の協力が必要

パニック障害の改善には周囲の協力が必要不可欠です。初診時には、可能な限り家族に同行してもらい、パニック障害についての説明を聞きましょう。もし、まだ家族と病院に行っていないのであれば、次の診察時に同行してもらいましょう。

➡ パニック障害者への正しい接し方と家族ができるサポート

➡ 家族にも言えない!パニック障害を秘密にすると症状の改善が遅れる?

 

2.治療の基本方針について

パニック障害の治療方針

パニック障害の治療ガイドライン上で記載されている方針について解説していきますが、病院によっては得意とする分野が違ったり、理念などで治療方針は変わってきます。しかし、一般的にはお薬による治療を中心におこなっていくでしょう。下記の治療の流れは、あくまでもガイドライン上という認識でいた方が良いのかもしれません。

いずれにしても、パニック障害を克服(≒寛解)していくためには、お薬による治療や認知行動療法に代表される心理療法だけでは難しいのではないかと考えています。身体的な改善も必要ですし、なによりも、自分自身の考え方やものの捉え方を見直し、ストレスや不安を生み出しにくい環境を作るべきです。

下記より、医師から説明される治療方針について解説していきます。

①薬物療法によってパニック発作を消失させる

お薬による治療(SSRI・抗不安薬を使用)を行ってパニック発作が出ない状態まで治療していきます。(➡もしパニック発作が起きてしまった時の対処法)これは、お薬を飲んでいればパニック発作は出ないという状況を作っていくのですが、発作自体を完全に消し去るのは難しいのでは?というのが私の体験でもあります。少なくとも、お薬の力を借りてパニック発作パニック障害の症状を軽減する事は可能だと思っています。

②パニック発作以外の不安も軽減させる

パニック障害は不安障害の一種であるように、何かしらの不安がパニック発作を引き起こす根底の原因となっています。ですから、この不安に感じていることについても、お薬の力を使って和らげていきます。

③薬物療法以外の治療も行う

パニック障害の治療法はお薬による治療だけではありません。代表的なものとして、認知行動療法や暴露療法などが挙げられます。

また、不安に対する対処法やリラクゼーション法を学ぶこともパニック障害の改善に有効です。しかし、どこの病院へ行っても、これらの治療法が受けられる訳ではありませんので注意が必要です。

お薬による治療は、基本的にどこの精神科・心療内科に行っても受けられますが、薬物療法➡症状の緩和➡お薬を減らす➡断薬 という流れになりがちですので、認知行動療法や暴露療法などの心理療法がある事を知っておきましょう。

必要であれば、あなた自身が勉強したり、心理療法を受けられる病院を探す努力が必要です。

④治療の目標は寛解(かんかい)

治療方針の説明の中には「寛解(かんかい)」という言葉が医師より使われるかもしれません。寛解とは聞きなれない医学用語ですので、場合によっては「治る」というやさしい言葉を使う医師もいるでしょう。

パニック障害は原因が完全に解明されていない病気という事もあり、「完治する・治る」という表現は好ましくありません。(参考 ➡パニック障害が完治する病気と言えないその理由

ですから、医学用語として寛解という言葉が使われます。これは、症状の出ない状態を指す言葉になりますが、パニック障害の治療の目標は、この「寛解」を目指す事になります。

 

3.薬物療法の進め方

薬物療法の進め方

薬物療法(お薬による治療)の進め方については、パニック障害の治療ガイドラインにも細かく記されていますが、どのような薬を飲むか、どの程度の量を飲むかという難しい内容が書かれていますので、ここでは、おおまかにどの様な事が書かれているのか?また、重要なポイントを要約して解説していきます。

①どの様な種類のお薬が処方されるのか?

パニック障害の薬物治療では 抗うつ薬ベンゾジアゼピン という2種類のお薬を使って進めて行きます。(パニック障害の症状の度合いによっては抗うつ薬のみが使われるケースもあります。)抗うつ薬は、その名の通り、うつ病にも使われる薬で、もう1種類のベンゾジアゼピンとは、簡単に言えば抗不安薬(精神安定剤)と思ってください。

抗うつ薬

抗うつ薬の中にもまた色々な種類があるのですが、パニック障害の治療ではSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)というお薬が優先的に使われます。精神医学では比較的よく使われるなお薬となっており、①効果が高く ②安全で ③副作用が少ない という優れたお薬です。

SSRIというのは、総合的な名称ですので、処方されるお薬の名前がSSRIというわけではありません。実際に処方されるSSRIの商品名は以下の通りです。

  • ルボックス・デプロメール(フルボキサミン)
  • パキシル(パロキセチン)
  • レクサプロ(エスシタロプラム)
  • ジェイゾロフト(セルトラリン)

上記4種類あるのですが、当然、効力や効き方というのはそれぞれ違いますので、副作用の有無やお薬が合う合わないを判断して、症状に合ったお薬の選択が行われます。

また、SSRIが最終的に体に合わなかった場合、また違う抗うつ薬が使われる事となります。その選択肢としてSNRIと三環系抗うつ薬があります。つまり、抗うつ薬の中には①SSRI②SNRI③三環系抗うつ薬の3種類があるということになりますので覚えておいてください。

ベンゾジアゼピン

ベンゾジアゼピンとは向精神薬のことを指します。簡単に言えば精神安定剤なのですが、抗不安作用があるため、パニック障害や全般性不安障害をはじめとする不安障害によく使われるお薬です。

不安感を抑えるという意味で、とても素早く効く薬ですから、パニック障害に疾患していると非常に頼りになる反面、医師の処方量を超えて服用してしまうケースもある(薬物の乱用)ので注意が必要です。

このベンゾジアゼピンの使い方については、医学界で様々な議論がされており、使用に関して賛否両論があるようですが、個人的には短期的(パニック発作が緩和されるまで)には使用した方が患者としても非常に楽に日常生活を送れると感じます。但し、長期的に使用するとベンゾジアゼピンには依存性があり、飲まないと様々な禁断症状が出るケースがあります(私はありました)ので、これについては医師と良く相談することが大切です。

尚、ベンゾジアゼピンの効果や種類、処方されるお薬の名称については、パニック障害で使われる抗不安薬の記事でまとめていますので、こちらをご参照ください。

 

②お薬の使われ方や使用する期間

パニック障害の治療ガイドラインでは、上記までに説明した抗うつ薬やベンゾジアゼピンについて、処方の方針やお薬を減らし方などが記されています。細かい内容は医師に任せるとして、概要だけでも知っておいた方が、あなたの身を守るためにも良いと思います。お薬の処方のされ方や使われ方に疑問を感じたら、医師にしっかりと方針を確認しましょう

抗うつ薬の使用方法

抗うつ薬としてはSSRIが第一選択として使われることは既に説明した通りですが、その使われ方として、

  • まずは十分な効果が確認できるまでしっかりと服用します。
  • 効果が確認できたら1年間を目途に服薬を維持し、症状が再発しないことを確認します(お薬を飲み続ける)。
  • 症状が治まっている状態であれば、半年から1年かけてお薬を減らしていく。

この様な流れになります。尚、お薬を減らしていく段階で症状が再発してしまった場合は、もとのお薬の量に戻して経過を見て行くことになります。

ベンゾジアゼピンの使用方法

ベンゾジアゼピン(抗不安薬)は抗うつ薬(パニック障害の治療ではSSRIが第一選択)と合わせて使われていきますが、パニック障害における薬物療法では、抗うつ薬が主流ですので、抗うつ薬の効果が見られれば、ベンゾジアゼピンを減らしていくという使い方になります。

ベンゾジアゼピンはこの様な使われ方をしますので、抗うつ薬の効果が確認でき次第、お薬を減らしていく流れになります。具体的には、早ければ2~4週間、遅ければ8~12週間経ってから減薬を行っていくのですが、減薬の方法としては、1週間に10%ずつ減らしていく様なやり方になります。つまり、急激に減らしたり、いきなり飲まないという事はガイドライン上、推奨されません

パニック障害の症状が比較的軽い方は、上記のような減薬プランになるかもしれませんが、例えば、パニック発作が長引いていたり、広場恐怖を伴っていたり、不安症状を引きずっていたりする場合は、まず、上記の様な数週間程度の服薬でベンゾジアゼピンを減らしていくことはないでしょう。

数年間、飲み続けるというケースも沢山あります。

ベンゾジアゼピンを服用することは不安を効果的に抑えることができますので、パニック障害の症状を緩和するのにとても効果的なのですが、問題は、ベンゾジアゼピンを長く服用することで、いざ、お薬を減らした時に離脱症状(禁断症状)が出て、症状は良くなっているのに、お薬をやめる事が出来ないという状況になってしまうことだと感じています。

[準備中] ➡ 断薬するためには?

「薬を飲んでパニック症状を抑えられるのであれば飲み続けた方が楽」という考え方もありますが、長く飲めば、その分、止めるのも辛くなりますので、医師としっかりと相談して減薬プランを立てるのと同時に、減薬の正しい基礎知識を学ぶ必要があるでしょう

 

4.心理療法の進め方

心理療法

最後に心理療法(精神療法)の進め方について解説していきます。

心理療法には、実に数百通りものやり方があると言われていますが、日本で有名な心理療法としては下記の治療法が挙げられます。

  • 自律訓練法
  • 認知行動療法
  • 精神分析療法
  • 家族療法
  • 暴露療法
  • 箱庭療法
  • 遊戯療法
  • 森田療法

もちろん、上記の限りではありませんが、パニック障害で用いられる心理療法は、

が主ではないかと思います。

この様な心理療法を上記までで説明した薬物療法と併用する事がパニック障害の改善に効果的だということがわかっており、積極的に治療に取り入れられてきています。

ガイドラインでも心理療法の取り入れが推奨されている一方で、日本の精神医療の現場では、まだまだ薬に頼り切った治療方針の病院が沢山ありますので、しっかりとした病院選びを行うことがパニック障害を早期克服するポイントにもなります。

[おすすめの参考記事]

以下より、心理療法の進め方についてガイドラインを要約し、説明していきます。

①患者を教育することが重要

この記事の上部でも説明していますが、①パニック障害がどのような病気なのか?②どのような治療を行っていくのか?という事を患者自体が理解する事は非常に重要です。パニック障害の原因や治療の仕組みを知り、理解し、改善させようとあなた自身が努力していかなければ、パニック障害の克服はとても難しいと感じています。

ですから、ガイドラインにも記載されるように、医師は患者(あなた)に対して、徹底的な説明と理解を求めてくるでしょう。これをあなたは理解できるように努力してください。否定的な考えを持っているうちは治るものも治りません

②不安への対処法を説明

医師からは、上記、教育の延長線上として、不安に対処するためのアドバイスを患者に対して行います。これは担当医が行う場合もあれば、専属のカウンセラーや外部の専門機関が行う場合もあります。

ガイドラインに掲載されている不安への対処法の考え方は以下の通りですが、非常に重要です。患者(あなた)自身がこの考え方に切り替える事が出来れば、飛躍的にパニック障害を改善できるでしょう。

 

(この記事は作成中です。これより先のコンテンツについては近日中にアップいたしますので、お待ちください。)